日本健康教育学会誌
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特集:初等・中等教育におけるヘルスリテラシー教育の取り組み
学校における健康情報の『判断・選択』を重視したヘルスリテラシー教育の実践
森 慶惠
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2024 年 32 巻 3 号 p. 199-205

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抄録

現代社会においては,真偽不明の健康情報が溢れ,適切な健康情報を得る困難さは増している.これからの情報社会を生きていくためには,情報を収集する力より,健康情報を批判的に吟味して適切な情報を選択する力を,患者や当事者になる前の学校教育において育成することが重要である.健康情報を判断,選択して,意思決定するヘルスリテラシーの中核をなすものが,健康情報リテラシーである.メディアリテラシー,科学リテラシー,統計リテラシーは,批判的思考とともに,健康情報リテラシーを支えている.一方,批判的思考による健康情報の判断には,信念バイアスの影響が予想され,その限界も懸念される.そこで,批判的思考の構成要素と信念バイアスの修正を取り入れた,これからの健康情報リテラシー教育モデルを提案した.授業時間数の削減などにより保健教育に十分な時間を確保できない学校の現状と,今後起こりうる新たな健康課題にも対応するためには,健康課題毎に保健教育を行うのではなく,子どもたち自身が健康情報を収集,批判的に吟味し,科学的根拠に基づいて適切な情報を選択し,健康課題の解決に活用する健康情報リテラシー教育を活用することが有効と考える.今後,初等・中等教育の場でこの教育モデルを活用して健康情報リテラシー教育の実践検討を重ね,発達段階に即した健康情報リテラシー教育が充実することを期待する.

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