目的:保育施設の2・3歳児クラスでサペレメソッドを用いた食育活動を外部講師が行った.この活動への保護者の評価,実施前後の家庭での食育活動や園児の好き嫌いの変化を把握し,健康教育推進上の課題を検討する.
活動内容:2020~2022年度の3年間に近畿地方のK市における保育施設延べ21園684名の園児を対象に年間6回の食育活動を行った.各年度の実施前後に保護者アンケートを行い実施前523名,実施後452名の回答を得た.このうち参加初年目の園児は386名で221名を対象に前後比較デザインで評価した.
活動評価:実施後の保護者の回答では,園児(%)のうち416名(93.5)は「味の教室」を楽しみ,352名(79.1)は食べものや料理に関心を持ち,320名(74.2)は食事のお手伝いをしたがり,158名(35.5)は好き嫌いが少なくなった.また保護者のうち358名(80.4)は園児の感性に気が付くきっかけを得,437名(98.2)は今後も保育施設で継続してほしいと回答した.園児の感性に気が付くきっかけを得た群で園児との会話頻度や会話が楽しいとする割合が高かった.きっかけを得た群では買い物や食事のお手伝いなどの園児との関わりが高く,実施後の苦手野菜数が減少した.
結論:保護者は保育施設での食育活動により園児の食への関心等が高まったと評価し,ほぼ全員が継続実施を要望した.保育施設での食育活動は保護者が園児の感性に気づくことで,家庭での食育活動や園児の好き嫌いの改善を期待できることを意識して取り組む必要がある.