抄録
都市部において3~4カ月乳児健診を受診した母親を対象として, 母親学級の受講状況, 受講による不安の解消と社会的ネットワーク形成の状況を明らかにするとともに, これらと属性・受講場所・ソーシャルサポートとの関連を検討した。
1.母親学級の受講割合は84.8%で, 受講場所は医療機関が61.6%を古めた。受講群は非受講群よりも高年齢層および高学歴層であった。
2.母親学級の学習内容別に不安解消率をみると, 「栄養」「産前・産後の生活と衛生」に関しては9割と高く, 「育児」「分娩」に関しては7割と低かった。集合住宅居住者は「育児」について, 高年齢層は「分娩」について, 不安解消率が低かった。行政機関よりも医療機関での受講者の方が, 「妊娠中の生活・衛生」や「分娩」を中心に不安解消率が比較的高かったが, 「歯の衛生」と「沐浴」のみはその逆であった。
3.母親学級の受講により, 4割が友人ができ, 3割が地域の社会資源や情報に目を向けるようになった。これらに関して属性や受講場所による違いはなかった。
4.受講者は非受講者よりもソーシャルサポートが良好であった。受講者の中でも, 「妊娠中の生活と衛生」「栄養」「分娩」に関する項目について不安の解消ができた者, あるいは「友人ができた」「グループができた」「隣近所とのつきあいが増えた」といった変化があった者は, そうでない者よりもソーシャルサポートが良好であった。よって, 母親学級の受講とそれによる不安の解消や社会的ネットワークの形成が, ソーシャルサポートを向上させていると考えられた。
〔日健教誌, 1997; 4: 3-10〕