地域高齢者403人を対象に筋力,痛み,関節可動域,歩行能力,骨密度,血圧,視力,既往歴,自覚症状,IADL等の多要因を独立変数として転倒による骨折危険因子と転倒危険因子を判別分析(ステップワイズ法)によって検討し,後期高齢者と前期高齢者の危険因子を比較した。その結果以下のことが明らかになった。1.後期高齢者の骨折危険因子は左肩痛,呼吸器症状,収縮期血圧で,骨折予防因子は視力障害,右肩痛,高血圧既往歴,右腰部痛であった。骨密度と骨折は有意な関連がなかった。前期高齢者の骨折危険因子はなかった。2.後期高齢者の転倒危険因子は右腰部痛,収縮期血圧で,転倒予防因子は右手握力であった。前期高齢者の転倒危険因子は左上肢外転筋力で,転倒予防因子は10m歩行速度であった。
