2005 年 13 巻 4 号 p. 28-32
大都市近郊の独立型老人保健施設入所者を対象に,その退所先に影響を与える要因を研究した。調査対象者は男性194人,女性471人,平均年齢は81.1歳であった。対象者の71.6%が寝たきりおよび準寝たきりであり,66.3%に痴呆がみられた。入所者の55%は家庭からの,39.5%は医療施設からの,5.5%は特別養護老人ホーム(特養)等からの入所であった。退所者の29%は家庭に復帰し,53.1%は医療施設へ,17.9%は特養等へと退所した。解析の結果,医療機関へ退所した者に比較して家庭へ戻った者では,女性および自宅から入所した者が有意に多くなっていた。また特養等へ退所した者に比較して家庭へ戻った者では入所期間が有意に短くなっていた。特別養護老人ホーム等へ退所を希望する者は老人保健施設に長期入所する傾向があると考えられる。