日本健康医学会雑誌
Online ISSN : 2423-9828
Print ISSN : 1343-0025
ハチミツの結晶化による液状部分と固体部分の成分比較
吉垣 茂橋本 有似子三上 純葉中村 純内田 治永島 俊夫安藤 達彦
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 22 巻 4 号 p. 247-252

詳細
抄録

近年の健康志向の高まりとともに,ハチミツに含まれているブドウ糖,加糖,オリゴ糖,各種ビタミン,ミネラル,アミノ酸等の栄養素が注目され,健康食品としての需要も高まっている。採蜜時のハチミツは透明な液体状のものであるが,物理的現象としてしばしば結晶化する。ハチミツの結晶化は,ブドウ糖や果糖などの糖質が過飽和状態にあり,ハチミツ中の花粉などを結晶核として糖質の微細な結晶が成長して固体状になると考えられているが,いままでに明確な報告はされていない。本研究では,ハチミツの液状部分と固体部分において,花粉数と微量元素の含有量を測定し,さらに精製ハチミツにおいても同様に微量元素を測定することで,結晶化による液状部分と固体部分の微量元素成分の推移を比較検討した。その結果,ハチミツの種類によって液状部分と固体部分に含まれている花粉数に違いがあり,定説通り固体部分に花粉が多く含まれていた。また,微量元素においては主成分解析の結果,ハチミツの液状部分と固体部分の含有量に違いが見られ,液状部分に微量元素が多く含まれていた。精製ハチミツにおいても,同様に液状部分に微量元素が多く含まれ,結晶化により微量元素が液状部分に濃縮されていることが明らかになった。このことから,ハチミツ中の微量元素は花粉に含まれているものばかりでなく,花蜜由来のものも多いことが判明した。

著者関連情報
© 2014 日本健康医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top