日本健康医学会雑誌
Online ISSN : 2423-9828
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原著
地域住民の主観的健康感及び生活満足度と健康関連因子の関連:農山村地域と新興住宅地域の比較検討
佐藤 裕見子
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2016 年 25 巻 2 号 p. 98-106

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抄録

本研究の目的は,社会的環境が異なる農山村地域と新興住宅地域において,地域住民の主観的健康感及び生活満足度に影響を及ぼす健康関連因子について明らかにすることである。京都府A市において農山村地域及び新興住宅地域の特定健診受診者797人(40歳~74歳)のうち調査に協力が得られた有効回答者411人を分析対象者とした。

全体では,主観的健康感には, HbA1c,運動習慣,医療依存や痛みによる制限,仕事する能力など身体的な要因の関与が示唆された。自分の容姿に満足するなど心理的要因も直接関与していることが示唆された。生活満足度には,地域が好きでないことや畑仕事をするなど生活環境因子及び生活が楽しいことや必要な物が買える経済など心理・社会的因子の関与が示唆された。

主観的健康感と生活満足度は相関していた。睡眠障害及び生活でのストレスが主観的健康感のみならず生活満足度に影響を及ぼす大きな要因であり,生活のストレスの背景には,住んでいる地域への愛着,地域の助け合いや要介護者の有無が関与していることが示唆された。

地域別の比較では,農山村地域は近所づき合いや近所の助け合いなど地域レベルの因子が,新興住宅地域は畑仕事をするなど個人レベルの因子が生活満足度に関与することが示唆された。このことから,住んでいる地域の違いにより生活満足度に影響を及ぼす健康関連因子が異なることが示唆された。生活満足度は地域差よりも性差の関与が大きいことが示唆された。

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