日本健康医学会雑誌
Online ISSN : 2423-9828
Print ISSN : 1343-0025
原著
小学生の子を持つ保護者の食行動に関連する要因
—保護者の性別による違いから—
丸山 佳代永嶺 仁美森田 久美子
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2021 年 29 巻 4 号 p. 417-424

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抄録

本研究の目的は,小学生の保護者の食行動に関連する要因を理解し,保護者を対象とした健康的な生活習慣を支援するプログラムの示唆を得ることである.小学生378名の父親と母親を対象に食行動尺度(EBS),生活習慣,健康意識,主観的健康感,一般向けヘルスリテラシー尺度(CCHL)の項目からなる質問紙調査を実施し,278家庭を分析対象とした.

保護者の健康意識,父親のヘルスリテラシー,母親の適切な体重を維持する習慣と主観的健康感が食行動に関連する要因として抽出された.保護者の健康意識や父親のヘルスリテラシーの高さ,母親の適切な体重を維持する習慣や主観的健康感の高さは,良好な食行動の関連要因となることが示唆された.これらの結果は,同様の環境で生活を共にする子どもの食行動へも影響することが考えられる.

子どもの生活習慣は保護者の影響を受けやすいことから,子どもの健康的な生活習慣を確立するためには,子どもだけでなく保護者に対する教育が必要である.保護者の健康を意識するきっかけを作り,父親ではヘルスリテラシーの向上,母親では適切な体重の維持や主観的健康感の改善に焦点を当てた教育を実施することは,保護者の食行動をより良い方向に導く可能性がある.

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© 2021 日本健康医学会
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