日本健康医学会雑誌
Online ISSN : 2423-9828
Print ISSN : 1343-0025
原著
看護師の採血および静脈注射時の手袋着用率向上のための教育介入効果の検討
大釜 恵渡部 節子森 みずえ
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2021 年 30 巻 2 号 p. 162-169

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抄録

看護師の採血および静脈注射時における手袋着用率を向上させるための教育介入の効果を検討した。病院に勤務する看護師218人を対象として,質問紙により手袋着用の実態を評価し,手袋未着用の理由を認識・技術・物品の3要因に分類した。各要因に対して,アンドラゴジーの考え方や自己効力感を高める方法として,グループディスカッションやビデオ視聴など多角的な介入を取り入れた教育を実施した。教育介入の3ヶ月後および1年3ヶ月後にその効果を明らかにするため,介入前と同様の評価を実施した。介入前の手袋着用率は,採血時55.6%,静脈注射時50.3%と全体の半数であり,手袋未着用の理由は「指先の感覚がわかりにくい」など,技術要因の占める割合が高かった。教育介入3ヶ月後の手袋着用率は,採血時77.8%,静脈注射時73.2%でいずれも有意に上昇し,1年3ヶ月後は,さらに上昇して採血時86.2%,静脈注射時84.5%になったが,手袋未着用の理由の上位は技術要因で占められた。以上の結果から,アンドラゴジーの考え方や自己効力理論を取り入れた看護師への教育介入は,手袋着用行動を起こす動機づけとなり,さらに手袋着用行動の定着へと繋がるなど一定の効果があることが示唆された。

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