日本健康医学会雑誌
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Print ISSN : 1343-0025
原著
女性病院看護師のバーンアウトと職業性ストレスの関係
井奈波 良一
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2021 年 30 巻 2 号 p. 170-178

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抄録

女性看護師のバーンアウトと職業性ストレスの関係を明らかにすることを目的に,A総合病院の女性看護師247名(平均年齢36.8±11.5歳)の自記式アンケート調査結果について分析した。久保7) の日本版バーンアウト尺度による情緒的消耗感得点,脱人格化得点,個人的達成感の低下得点およびPines4) のバーンアウトスケールの日本語版によるバーンアウト得点をそれぞれ目的変数とし,年齢,経験年数および職業性ストレスの各項目の点数を説明変数としたステップワイズ法による重回帰分析を実施した。その結果,職業性ストレスの各要因との関係では,情緒的消耗感得点は,「仕事の量的負担」および「情緒的負担」得点と有意な正の相関を示し(p<0.01),「仕事の適性」,「尊重報酬」および「ワーク・セルフ・バランス(ポジティブ)」得点と有意な負の相関を示した(p<0.01)。脱人格化得点は,「情緒的負担」および「役割葛藤」得点と有意に正の相関をし(p<0.01),「仕事の適性」,「家族や友人からのサポート」,「尊重報酬」,および「個人の尊重」得点と有意に負の相関をしていた(p<0.01).個人的達成感の低下得点は,「仕事の質的負担」,「仕事のコントロール度」,「仕事の適性」,「役割明確さ」,「上司の公正な態度」および「ワーク・セルフ・バランス(ポジティブ)」得点と有意に負の相関をしていた(p<0.05またはp<0.01)。一方,バーンアウト得点は,「仕事の質的負担」,「職場での対人関係」および「情緒的負担」と有意に正の相関をし(p<0.01),「仕事の意義」,「役割明確さ」,「家族や友人からのサポート」,「安定報酬」および「ワーク・セルフ・バランス(ポジティブ)」得点と有意に負の相関をしていた(p<0.05またはp<0.01)。以上の結果は,職業性ストレス調査項目,分析法および対象者の職業が異なる先行研究結果からの予測とかなり異なることから,女性病院看護師のバーンアウトと職業性ストレスの関係についてはさらに追求する必要がある。

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