日本健康医学会雑誌
Online ISSN : 2423-9828
Print ISSN : 1343-0025
原著
地域在住高齢者の日常生活における身体活動の実態とフィードバックの効果
吉田 香佐々木 晶世叶谷 由佳齋藤 京子稲森 正彦
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 30 巻 3 号 p. 361-371

詳細
抄録

日常生活の中にある身体活動について実態調査を行い,その内容を評価して言葉や態度で認める(フィードバックする)ことが高齢者の身体活動量の維持や増加に有効であるか検討した。身体活動の把握のため,腕時計型脈拍・加速度計(以下PS)および活動記録を用いた。対象者は地域在住の60歳以上の男女14名(男性7名,女性7名)であり,年齢(中央値(最小-最大))は73.5(61.0-91.0)歳である。1回目の調査において,各対象者に1週間のPS装着,質問紙への回答,記録用紙への記入を依頼した。その後,1回目の調査の結果と記録をもとにフィードバックを実施し,2回目の調査として1週間のPS装着,質問紙への回答を依頼した。1回目の調査において,PSで測定された1日の平均身体活動時間は1.1(0.1-4.3)時間,1日の平均体動あり時間は6.3(2.9-8.2)時間であり,日常生活中の中強度以上の動作を含む身体活動の内容として,男性は移動,女性は家事に関する活動が多いという特徴がみられた。フィードバック実施後の身体活動の変化として,1日の平均体動あり時間が有意(p<0.05)に長くなった。日常生活における身体活動を振り返るフィードバックを実施することは,高齢者の身体活動量の増加に有効である可能性がある。

著者関連情報
© 2021 日本健康医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top