本研究の目的は,日本で主に栽培されているコシヒカリ,ヒノヒカリ,あきたこまちの炊飯米と米デンプンの特性を比較することで,おいしいと評価されていながらも,特性が報告されていないヒノヒカリの理化学的特性を検討することである。タンパク質およびアミロース含量の結果では,3品種ともに良食味米であった。炊飯米の表層に観察されたゲル状の層は,多糖から構成されていた。その水溶性多糖の量はヒノヒカリが他の2品種に比べて顕著に多かった。さらに,ヒノヒカリの炊飯米の表面のずり摩擦—移動距離の曲線形状が異なることが示され,さらに,表層に付着している水溶性多糖量も多かった。破断特性では,ヒノヒカリはコシヒカリと近似した特性であった。ヒノヒカリの炊飯米は,コシヒカリとあきたこまちとは異なる特性を有していることが示された。