2022 年 31 巻 1 号 p. 61-70
専門病院に勤務する女性看護師のバーンアウトとの関連要因を明らかにすることを目的に,協力が得られた国立高度専門医療研究センターの看護師長以上の職位を除く全看護師637人を対象に,2019年6月から7月までの期間に,バーンアウト測定尺度として日本版MBI-HSS(Maslach Burnout Inventory-Human Services Survey)を用いた自記式質問紙調査を実施し,229名から有効な回答を得た。日本版MBI-HSSの総合得点(バーンアウト得点)に職種の差が認められたことから,女性看護師174人を解析対象とした。対象の年齢は32.8±9.5歳,バーンアウト得点は11.44±2.80であった。バーンアウト得点を目的変数とする重回帰分析の結果,自由度調整済み決定係数は0.64であり,「健康状態」(β=-0.26),「就職前に思っていたよりも仕事がきつい」(β=0.21),「子どもの有無」(β=-0.20),「看護のやりがい」(β=-0.18),「繰り返し説明しても訴え続ける患者にうんざりする」(β=0.17),「患者家族との関係」(β=-0.16),「仕事量」(β=0.15)「相手の意見や気持ちを受け止められる」(β=-0.12),「ワークライフバランス」(β=0.11)が有意(p<0.05)な関連要因として選択された。専門病院に勤務する女性看護師では,健康状態がよくない者,就職前に思っていたよりも今の仕事がきついと感じている者,子どもがいない者,看護にやりがいを感じていない者,繰り返し説明しても訴え続ける患者にうんざりすると感じている者,患者家族との関係をうまく築けていない者,仕事量が多いと思う者,相手の意見や気持ちを受け止められる方だと思わない者,仕事と生活の両立が難しい者は,バーンアウトしやすいことが明らかになった。