要支援・要介護高齢者27名に対して,高たんぱく質乳製品および食肉含有加工食品の提供と週1~2回の運動の複合的介入を3ヶ月(食事+運動介入),続いて運動介入のみを3ヶ月間行い(運動のみ介入),対象者の末梢血一般検査,血清生化学検査,血清生理活性物質濃度および血清遊離アミノ酸濃度の分析結果から,筋肉量増加に関わる要因を解析した。血清生理活性物質のうち,マイオカインの1つであるミオスタチンの血清中濃度は,介入前と比較して,食事+運動介入後に有意に上昇した。また介入期間中の筋肉量と血清ミオスタチン濃度の変化量との間に有意な正の相関が見られた。一方,老化にともなう骨格筋萎縮の原因となる補体成分であるC1qの血清中濃度は,食事+運動介入後と比較して,運動介入のみ後に有意に低下した。食事+運動介入後の血清遊離必須アミノ酸濃度は,介入前と比較して,有意に上昇した。1日を通してなるべく血中アミノ酸濃度を低下させないことが筋肉量の維持・増加に有効であることから,食事介入によって血清遊離必須アミノ酸濃度が高まったことが筋肉量の増加に一部関与したと考えた。これらのことから,たんぱく質を多く含む食品の提供および運動負荷を組み合わせた複合的介入は,血清遊離必須アミノ酸濃度の上昇を介して,筋肉量を増大できることが示唆された。