災害による急激な生活環境の変化は,糖尿病患者のセルフケアを阻害する。本研究では,糖尿病患者が被災によって受けるセルフケア阻害に関する心理的な影響を測定する尺度の開発を目的とした。
対象者は熊本大地震を経験した糖尿病患者195名(男性143名,女性52名;63.34±12.01歳,HbA1c値=7.09±0.93%)であった。災害時の糖尿病セルフケア阻害尺度の項目は,被災した糖尿病患者へのインタビューを基に作成した。項目の構成は,抽出された4カテゴリー(「炭水化物中心の食事」,「糖尿病薬の不携帯」,「セルフケアの不足」,「高血糖状態」)からの10項目と将来における病気悪化のリスクに関する2項目を追加した全12項目とした。
因子分析の結果,セルフケアの諦め,食事の悪化,将来における病気悪化の懸念の3因子が抽出された。各因子のα係数は0.806以上であり,高い内的一貫性を示すことが確認できた。
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