き裂の発生寿命と伝ぱ寿命を分離した遅れ破壊寿命の信頼性工学的研究

抄録

さきに著者らは高強度鋼の遅れ破壊におけるき裂の発生寿命t_i,伝ぱ寿命t_p,破断寿命t_f(=T_i+T_p)の分布を実験的に調べた.本報はその結果を背景として,t_iとt_pがともにワイブル分布に従う場合にt_fがいかなる分布となるかをモンテカルロ法を用いて理論的に調べたものである.これよりt_fはほぼ複合ワイブル分布となること,t_iとt_pの平均的比率の変化に伴い屈曲点が系統的に移動することなど,寿命分布の解明に有用な知見を得た.