近畿理学療法学術大会
第47回近畿理学療法学術大会
セッションID: 7
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(非)利き手の運動制御課題が運動関連脳電位に及ぼす影響
*中野 英樹奥埜 博之森岡 周塚本 芳久
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抄録
【目的】本研究の目的は,(非)利き手の運動制御課題時の脳活動を検証することである。ヒトの随意運動時の脳波活動において,筋収縮の約1秒前から漸増的な陰性緩電位変動が記録されることが判明している。これらの電位は,運動関連脳電位と総称されており,特に運動前電位は運動準備電位(BP)と呼ばれ,随意運動の準備・遂行など,運動の予期に関連した中枢神経機構を反映していると考えられている。人間の動作,運動というものは,左右肢を巧みに協調させて行う運動である。人間は左右対称に対になった身体器管を持っているにも関わらず,これらの身体器官を同じ頻度で用いるということは少なく,どちらか一方の側に偏って使用することが多い。上肢では利き手が随意的な目的動作を行い,非利き手がその動作を無意識に補助するという機能的な役割があり,過去に経験してきた運動は異なる。そのため利き手と非利き手の運動前の脳内の準備過程も異なることが考えられる。本研究では,利き手と非利き手に運動制御課題を与えた時の運動前脳活動を検証するためにBPを用いて検討した。

【方法】本実験に参加の同意を得た右利き健常成人11名を対象とした。参加者は皆,Oldfieldのエディンバラ利き手テストにおいて,強い右利きを示した。参加者は机上で,(1)4~6秒間隔で随意的な手関節伸展運動,(2)聴覚刺激(刺激周波数0.5Hzの一定間隔と0.5Hz±50%のランダム)後にすばやい手関節伸展運動を行った。脳波の測定には誘発電位・筋電図検査装置MEB-2200(日本光電社製)を用いた。脳波は国際式10-20法に基づき,感覚運動皮質野直上の2ヶ所(C3,C4)から記録した。筋電図は橈側手根伸筋から記録し,波形の立ち上がりをトリガーとした。各参加者において50回分のデータを加算平均し,BP出現時間,最大振幅,面積を比較した。利き手と非利き手の値にはpaired t-testを用い,随意運動と聴覚刺激(一定間隔とランダム)の値には一元配置分散分析を用いて統計処理した。有意水準は5%未満とした。

【結果】随意運動時において利き手に比べて非利き手で最大振幅と面積に有意な増加が認められた(P<0.05)。また,利き手,非利き手ともにランダムな聴覚刺激時に比べて一定間隔の聴覚刺激時において最大振幅と面積に有意な増加が認められた(p<0.05,P<0.01)。

【考察】利き手と非利き手の随意運動では意識経験の関与が異なり,運動プログラミングの活動にも違いがあることが示唆された。また,一定間隔の聴覚刺激とランダムな聴覚刺激では過去の運動経験の違いにより認知過程の活性化が異なることが示唆された。
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© 2007 社団法人 日本理学療法士協会近畿ブロック
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