近畿理学療法学術大会
第50回近畿理学療法学術大会
セッションID: 64
会議情報

リハビリ強化型デイサービスにおける利用頻度の違いが利用者身体機能に及ぼす効果
-5年間利用した利用者を通して-
*澳  昂佑野崎 誠高島 千尋(OT)濱部 典子(ST)恩生 やよい(ST)奈良 尚(OT)
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抄録
【目的】 高齢者に対する運動介入の効果については多数、報告(Fiatarona DM ,1994、 Bucher DM et al,1997、大渕 他,2001)されており、弊社デイサービスでは運動介入の場としてリハビリ機能を強化したサービスを提供している。そこで弊社デイサービスにおいて利用頻度の違いが利用者身体機能にどのように影響を与えたかを調査したので若干の考察を加え、報告する。
【方法】 対象者は、弊社デイサービスを5年間継続して利用した要介護1~3の14名である。この利用者をサービス利用週1回群7名(平均年齢64.5±11.8歳)、サービス利用週2回群7名(平均年齢71.1±7.0歳)に分け、初回評価とその後、1年ごとに評価を行い、5年間の経過を調査した。評価として、身体機能測定項目はTime Up and Go test、2分間足踏み、握力、また総合的な指標として要介護度を用いる。これらの結果を比較するために初回評価時における2群間の身体機能の差、各群の身体機能における初回評価時と5年間の身体機能の変化、2群間の変化率をT検定、Friedman検定および、有意確率をBonferroni補正した多重比較検定を用いて解析した。また要介護度の変化を比較した。 弊社デイサービスでは、5年間の主なリハビリ内容としてパワーリハビリテーション、マット運動、レッドコードエクササイズを実施した。これらの運動プログラムは療法士の専門的な視点を取り入れ、他職種と連携し、利用者の身体状況に合わせて管理、修正した。
【説明と同意】 対象者には本研究の趣旨を説明し、同意を得た。
【結果】 2群間の初回評価時の身体機能測定項目に有意差はなかった。 各群の初回評価時と5年間の比較においては、数値上の変化は見られたものの統計上の有意差はなかった。また、2群間の変化率は各年度において有意差が見られなかった。 一方で要介護度においてはともに維持、改善した。 サービス利用週1回群では7名中1名が改善し、サービス利用週2回群では7名中5名が改善した。
【考察】 今回、利用頻度の違いが身体機能にどのような影響を与えたか調査し検討した。サービスを週1回利用した利用者については維持、改善の結果であったが、週2回利用した利用者については、週1回利用した利用者以上に要介護度が改善していることが分かった。これは、療法士の専門的な視点を加えた弊社のリハビリ強化型デイサービスにて、管理、修正を加える頻度が高かったことにより、生活に反映されたサービスが実施できたからだと考える。 本研究を通じ、リハビリ強化型デイサービスを利用することで要介護度改善に繋がる結果を得たが、その要因を示すことはできなかった。今後の課題として、リハビリ強化が何に影響しているのかをさらに細かく分析する必要がある。
【理学療法研究としての意義】 要介護者へ専門的な視点を加えたリハビリの頻度が高いことで要介護度の改善しいては日常生活の安定的な継続に繋がることが示唆できた。
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© 2010 社団法人 日本理学療法士協会 近畿ブロック
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