きのこの科学
Online ISSN : 2433-0965
Print ISSN : 1340-7767
純白系エノキタケの栽培工程における光照射が子実体生産におよぼす影響
稲冨 聡山中 勝次
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1994 年 1 巻 2 号 p. 79-84

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抄録

エノキタケの純白系品種の栽培において,各栽培工程に対する光処理が子実体生産に及ぼす効果を調べた.(1)栄養菌糸の生長(培養工程)に対する光照射の効果は,全暗黒下での培養よりも低照度の光照射下で培養した菌糸体からの子実体収量がやや増大した.(2)芽出し工程を全暗黒下で管理した栽培ビンでは発芽が悪く,傘形成が遅れ,子実体の以後の生長が大きく遅延した.照度に比例して茎数が増加し,適正な茎数を形成させるための最適照度は30lux,収量最大には10lux前後の光照射を必要とした.(3)ならし・抑制工程における暗黒下での栽培はしのこが不揃いとなり,品質が低下した.傘の発育の最適照度は30〜100lux,茎の伸長に対する最適照度は2〜10luxで,高照度では傘の発育が促進され,茎の伸長が抑制された.(4)生育工程での子実体収量およびきのこの品質から判定される茎長に対する最適照度は2〜10luxで,傘径は200luxまで照度に比例して増大した.

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© 1994 日本きのこ学会
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