共催: 日本化学会, 有機合成化学協会, 日本化学会東北支部, 有機合成化学協会東北支部, 日本薬学会東北支部, 日本農芸化学会東北支部
新規キラル試薬 M.alpha.NP acid (1) はアルコール類の不斉識別能力に優れ、またラセミ化しないため、HPLC 分離により光学分割に使用できる。さらにナフチル基の強力な磁気異方性効果を用いてアルコール部分の絶対配置を決定できる。すなわち、ラセミ体アルコールに対してキラルカルボン酸 (S)-(+)-M.alpha.NP acid を縮合させ、得られたジアステレオマー混合物を HPLC 分離した後 M.alpha.NP を外すことで、光学的に純粋なアルコールを得ることができる。また、第一溶出成分のアルコールの絶対配置は化学シフトの差 Δδ = δ(2nd fr.) - δ(1st fr.) を求めることにより決定できる。この絶対配置決定では M.alpha.NP acid ester の安定立体配座が最重要である。今回、我々は種々の M.alpha.NP acid ester 類のX線結晶解析に成功し、その結晶中立体配座は、磁気異方性効果から求めた溶液中安定配座にほぼ一致することを見いだした。また、M.alpha.NP acid 法から得た絶対配置はX線解析のそれと完全に一致しており、M.alpha.NP acid 法の信頼性を確立するものである。