抄録
2つのキノキサリン環が連結された5,5'-ビキノキサリルは、これまでほとんど合成例がない未開拓の複素環化合物である。演者らは、Ni(0)触媒によるビアリールカップリングを利用して、8,8'-位にアミノ基を導入された化合物を合成した。これらは可逆性の高い二段階の一電子酸化を受けるWurster型の酸化還元系となることが見いだされた。2つのアミノキノキサリン部分は、ビアリール結合を通したスルーボンド相互作用、および、空間を通したスルースペース相互作用が可能と予想し、キノキサリンの2,3-位に不斉な置換基や金属配位能を有する置換基を導入した化合物について、それらの特性を引き出した。