基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
第19回基礎有機化学討論会(第38回構造有機化学討論会・第58回有機反応化学討論会)
セッションID: AW
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受賞講演
典型元素化学を基盤とした機能性π電子材料の設計と合成
*山口 茂弘
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キーワード: 典型元素化学
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抄録

有機分子の光物性や電子物性に焦点を当てた研究において主役となるのは,炭素-炭素不飽和結合がつながったπ電子系化合物である.特に,近年の有機EL ディスプレイや有機トランジスタ,有機太陽電池などに代表される有機エレクトロニクス分野の急速な発展にも後押しされ,新たなπ電子系物質の創製の重要性は益々高まっている.基礎科学の視点から新奇な結合・構造をもつ分子を設計し,その合成と物性の理解を進める化学と,応用を視野に入れ,より物性の追究に重点を置いた物質創製の両方からのアプローチが必要である.これに対し我々は「典型元素を機軸とした分子設計」という切り口によりこれまで取り組んできた.B, Si, P, S, Se などの13–16 族典型元素に注目し,各々の元素の特性を生かした分子設計により従来の有機化学では実現が困難な特異な構造・物性をもつπ電子系分子を創り出すというのが基本的な考え方である.特に,我々の興味は,1)典型元素を用いたシンプルな構造修飾により,いかに特異な物性を引き出せるか,2)本質的に素性のよい骨格をいかにシンプルに創るか,の二点である.本講演では,これらの観点のもと進めている最近の研究を報告する.

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© 2008 第19回基礎有機化学討論会 組織委員会
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