基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
第19回基礎有機化学討論会(第38回構造有機化学討論会・第58回有機反応化学討論会)
セッションID: B27
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口頭発表
固相光反応における2-(アリルチオ)-3-メチル-2-シクロヘキセン-1-オン類の立体選択性の制御
*黒田 玲子関谷 亮原田 拓典
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抄録

2-(アリルチオ)-3-メチルー2-シクロへキセノン(1)の結晶の光反応は、芳香環のオルト位にある置換基により大きな影響を受けることが、われわれのこれまでの研究で明らかになっている。今回、芳香環のパラ位に置換基を持つ1の誘導体(1d-f)の光反応について検討した。結晶に光照射したところ、分子内環化反応が進行し、ジヒドロベンゾチオフェン誘導体が選択的に生成した。環化反応の速度、収率、立体選択性は、芳香環上の置換基に大きく依存することがわかった。たとえば、臭素の場合(1f)には、環化反応がもっとも速く進行し、cis体が定量的に得られた。一方、メチル基の場合(1d)には、環化反応がゆっくり進行し、trans体が最初に生成し、長時間照射することでtrans体からcis体へと異性化した。1eは、trans体, cis体をそれぞれ57%,43%の収率で生じた。X線結晶構造解析より、置換基の種類による反応性、立体選択性の違いは、分子間重原子効果により引き起こされることが明らかとなった。これは1eと1fの1:1の混晶の光反応で、1eがcis体のみを作ることで確かめられた。

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© 2008 第19回基礎有機化学討論会 組織委員会
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