基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
第19回基礎有機化学討論会(第38回構造有機化学討論会・第58回有機反応化学討論会)
セッションID: 1P072
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ポスター発表
新規カリックスフィリンパラジウム錯体の柔軟な電子状態と反応性に関する理論的研究
*越智 紀章中尾 嘉秀佐藤 啓文俣野 善博今堀 博榊 茂好
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抄録

カリックスフィリンパラジム(II)錯体1は、ホスホールとチオフェンで置換されたポルフィリン環にPd(II)が取り込まれた興味深い錯体である。通常、Pd(II)錯体への酸化付加反応は困難であるが、1ではHeck反応が進行することが示されており、1への酸化付加反応が進行することが示唆されている。この理由として1の特徴的な電子状態が関与していると考えられる。本研究では理論的研究により酸化付加反応と1の電子状態の関係を明らかにした。1へのPhBrの酸化付加が進行し遷移状態を経て生成系に到るにしたがい、カリックスフィリン配位子に局在化したHOMOから電子が減少し、生成系ではLUMOに変化してゆくことから、カリックスフィリン配位子は-2価から電荷的中性な状態に変化することが示された。この結果、1はPd(II)錯体であるが、酸化付加反応が可能であることを明らかにした。

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© 2008 第19回基礎有機化学討論会 組織委員会
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