1,2-ジヒドロ-1,2-アザボリンはベンゼンと等電子構造を有し、特にπ電子系材料の基本骨格としての潜在性に興味がもたれる。我々は、1,2-ジヒドロ-1,2-アザボリンの3,6位でπ共役骨格を拡張した誘導体が、窒素上を保護したジピロリルボランからの環拡大反応により得られることを見いだした。この分子は対応するベンゼン誘導体と比較して長波長に吸収および蛍光極大を示し、また極めて高い蛍光量子収率をもつことが分かった。X線結晶構造解析、サイクリックボルタンメトリー測定、分子軌道計算の結果、拡張したπ共役骨格において1,2-ジヒドロ-1,2-アザボリンはベンゼン環よりもシクロヘキサジエンに近い性質をもつことが明らかとなった。