抄録
最近、我々はiPrMgCl∙LiClを用いて3位ホウ素置換ベンザイン1の調製に初めて成功し、また、ホウ素置換基によってDiels–Alder反応(Angew. Chem. 2010)や[3+2]環化付加反応(投稿準備中)が位置選択的に進行することを見出した。今回、フッ素アニオンを利用する1の温和な発生法を開発し、三成分連結反応へと応用した。すなわち、1-アルキン、塩化アリル、並びに銅触媒存在下、前駆体にCsFを反応させて1を発生させると、ベンザインの3重結合で2つの炭素-炭素結合形成反応が連続的に進行した。本反応により、上記環化付加反応とは異なる、ortho, meta-二置換芳香族ボロン酸誘導体の位置選択的合成が可能となった。