キラルなサレン錯体を用いる2-トリメチルシリロキシフランとアルデヒドの触媒的不斉付加反応: 水の添加効果

抄録

キラルなサレンクロム錯体を用いる、2-トリメチルシリロキシフラン (TMSOF) とアルデヒドの触媒的不斉付加反応を検討した。　1を触媒として無水ジクロロメタン中で3-フェニルプロパナールとTMSOFを低温で反応させると、対応する付加体が高エナンチオ選択的に得られることが分かった。　しかしながら再現性に乏しく、アンチ体の光学純度は80-95% eeの範囲で変動した。　反応条件を精査した結果、基質に対して25 mol%の水を添加して-20 °Cにて反応を行うと、付加体が再現性良く好収率かつ高エナンチオ選択性で得られることを見出した [(91%, anti:syn = 31:69, 95% ee (anti), 89% ee (syn)]。　本反応は、各種脂肪族アルデヒドとTMSOFの反応に適用可能である。