抄録
ポルフィリン異性体の一種である、N-混乱ポルフィリン(NCP)は、混乱ピロールと呼ばれる、環外周に窒素を向けたピロール環を有するために、通常のポルフィリンには見られない興味深い化学特性を示す。なかでもNCPの持つ2つのNHが、両方とも環内部に存在する場合と、一方が環外周部にある場合とでは、NCPの芳香族性、電子状態が大きく異なり、両者の互変異性体間に光物性や反応性に大きな差異が生ずる。我々は、互変異性体の相対的な安定性を溶媒によって制御しうることを、既に報告している。今回、我々は、この互変異性に対する溶媒、置換基、濃度、同位体の各種効果を確かめ、またこの互変異性によるNCPの反応性の制御について検討したので、その結果を報告する。