抄録
我々は三重項ジフェニルカルベンのオルト位に立体保護基を導入することによって、室温溶液中で数十分間存在できる長寿命三重項カルベンの発生に成功した。今回、オルト位に種々のアリール基を導入したジフェニルジアゾメタンを合成し、その光分解によって発生させたカルベンの反応性と動力学を生成物分析、分光分析及びレーザー閃光光分解(LFP)法によって検討した。その結果、77KでのESR測定では三重項カルベンが観測されたが、室温での光分解後の生成物は、一重項カルベン由来の生成物と考えられるフルオレン誘導体であった。これら結果とLFP研究の結果から反応機構を詳細に検討する。