抄録
アシルシランはPd触媒存在下でアリルエステルの良いアシル化剤として働くことが報告されている。辻らは、トリフルオロ酢酸及び酢酸存在下で実験を行ったところ、前者がβ, γ-不飽和ケトンを与えるのに対し、後者は反応しないことを見いだした。この興味深いアシル化反応の機構は、詳しい実験にも関わらず解明されていない。そこで本研究では、B3LYP/LANL2DZレベルの密度汎関数計算を用いてその機構の詳細を明らかにすることを目的とした。その結果、配位したアシルシランのケイ素の周りが三角両錘型の構造を持つ遷移状態を経て反応が進行することが判明した。更に、反応前駆体であるPd二核錯体の安定性が、反応の進行の容易さに影響することも明らかとなった。