抄録
補酵素NAD(P)+-NAD(P)Hの酸化還元反応において、3位カルバモイル基の配向が反応の立体選択性に関与していることが提案されている。この配向の効果を研究するため、2位置換基の立体障害を利用した軸不斉化合物を提案、合成した。今回はジチオナイト系の試薬を用いてこの化合物の還元反応を行った。また、この化合物とメチルグリニヤール試薬の求核反応における立体選択性の検討を計画した。その予備実験として、ピリジン環のN位をベンジル基で置換した化合物とグリニヤール試薬の反応を行ったところ、グリニヤール試薬中のハロゲン種の変化に伴う位置選択性の変化が見られたので合わせて報告する。