抄録
アミンと炭酸によって生じるカルバミン酸は様々な生理学的作用に関与しているといわれているが,カルバミン酸の状態は不安定であるため,その生成機構について詳細はわかっていない。これまで水中でのカルバミン酸の生成には,アミノ基がプロトンよりも炭酸イオンを攻撃するだけの十分な求核力を持ってることが必要で,またアミノ基の求核性を保つことのできるpH域でカルバミン酸が多く生成することを報告してきた。水中でカルバミン酸は平衡にあり,pHに依存してカルバミン酸の生成,分解反応が競合していると考えている。1H NMRによる積分比からカルバミン酸の収率を求め,反応速度定数を見積もり,平衡定数を試算した。