抄録
Co(II)/Et3SiH/O2によるアルケンの自動酸化では、反応中間体としてペルオキシラジカルが生成することが報告されている。このことを利用すれば、ジエンより一段階で環状過酸化物が合成できるのではないかと考えた。そこで、適当な構造を持ったジエンを合成し、その反応を検討したところ、不飽和ペルオキシラジカルの5-exo、6-exo環化に由来して対応する1,2-dioxolane、1,2-dioxaneがそれぞれ主生成物として得られた。環形成効率に及ぼす基質の置換基効果、溶媒効果、同位体効果に関する知見に基づいてその反応機構を論じる。