共催: 日本化学会, 有機合成化学協会(協賛)
溶液反応における反応種の反応性の検討には、反応種と溶媒分子との相互作用 (溶媒和) の定量的な検討が必要であるが、有機イオンに対する溶媒和の直接的な熱力学的検討はほとんど行われてこなかった。今回、カルボカチオンとしてトロピリウムイオン類、カルボアニオンとしてシクロペンタジエニドイオン類を採り上げ、それぞれに対する相対的な溶媒和効果を定量的に比較、検討した。その結果、アルキル基によっていずれに対する溶媒和効果も抑制されることが定量的に明らかになった。環上の総電荷と溶媒和効果の減少傾向は比較的良好な相関を示し、アルキル基によって電荷が分散するために溶媒和が減少することを裏付けるものと考えられる。