北日本病害虫研究会報
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水稲湛水高密度散播直播栽培におけるいもち病の発生の様相と 薬剤費の低減防除
小泉 信三白土 宏之片岡 知守山口 誠之
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2009 年 2009 巻 60 号 p. 16-24

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抄録

直播適性の高い水稲品種「萌えみのり」といもち病圃場抵抗性強品種「ちゅらひかり」の密封式鉄コーティング種子を,2 年間,湛水高密度(乾籾6kg/10a) 散播直播栽培し,初発生期にいもち病の罹病株を移植し,本病の発生推移を稚苗機械移植栽培と比較した.また,両栽培で薬剤の散布量と散布回数を減らした本病の薬剤費低減防除を検討した.湛水高密度散播直播栽培の第3・4 世代の葉いもち発生量は稚苗機械移植栽培に比べ,同等か多った.一方,穂いもちの発生程度は,栽培法に関わらず出穂期とその前後3 日間の間の降雨日数が多かった区ほど高く,出穂期前後の降雨の影響を受けた.廉価な液剤の茎葉散布は粒剤の湛水散布より薬剤費を低減させたが,防除による増収および収入増を考慮すると最適な防除法とはいえない事例もあった.「ちゅらひかり」は湛水高密度散播直播栽培でも穂いもちへの1 回の茎葉散布だけで「萌えみのり」慣行防除区に近くいもち病の発生を抑制した.

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© 2009 北日本病害虫研究会
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