2009 年 2009 巻 60 号 p. 170-173
出穂21 日後以降の稲穂に対するアカヒゲホソミドリカスミカメ幼虫の放飼試験において,吸汁部位が白濁したのみで褐変化などの着色がみられない被害粒が確認された.着色の有無は,水稲玄米の農産物検査において品質を左右する項目であることから,このような形状の被害粒の発生状況を調査し,その発生要因について検討した.放飼試験の結果,登熟段階がすすんだ籾ほど通常の斑点米粒数の割合が低く,着色していない被害粒数の割合が高いという傾向があった.このことから,着色していない被害粒は登熟後期の吸汁により発生したと考えられた.また,着色していない被害粒は,圃場で栽培した「あきたこまち」からは確認されたが,「はえぬき」ではアカヒゲミドリカスミカメと斑点米が発生しているにもかかわらず、ほとんど確認されなかった.この品種間差は,カメムシの吸汁時期における玄米の含水率の違いにより生じた可能性がある.