2009 年 2009 巻 60 号 p. 262-265
青森県で2006 年に実用化したマシン油乳剤の展葉期散布によるリンゴハダニ越冬卵防除体系について,普及状況,防除効果並びに夏季のハダニ類防除に及ぼした影響を,従来の発芽期にマシン油乳剤を散布する体系と比較しながら検証した.新しい散布体系の導入後は,マシン油乳剤の使用園地割合が導入前の約1.4 倍に増加し,6 月中旬におけるリンゴハダニの発生園地割合が従来と比較して低く抑えられた.6 月中旬の発生園地割合が低下している一方で,夏季の発生園地割合は高く,また,マシン油乳剤を除いた殺ダニ剤の年間平均散布回数にも顕著な減少は認められなかった.今回調査対象とした共同防除組織では,殺ダニ剤の散布時期が固定された定期散布を行う傾向が認められたことから,夏季の発生園地割合が高く,年間散布回数が減少しない一因として,発生状況に応じた適期防除が行われていないことが考えられた.