2009 年 2009 巻 60 号 p. 51-54
2008 年7 月上旬から,北海道網走地方のテンサイ圃場において,スポット状に黄化症状の発生が認められた.本症状の原因を特定するとともに,特に発生圃場が多かった訓子府町において,発生実態調査と収量調査を行った.市販のビート西部萎黄ウイルス抗体を用いた間接ELISA 法により黄化症状株を検定した結果,ウイルスが高頻度に検出されたことから,本症状の主要因をテンサイ西部萎黄病と診断した.発生実態調査では,移植栽培より直播栽培のほうが黄化症状の発生程度は少なかった.これは直播栽培の種子にコートされている浸透移行性殺虫剤による一次感染の防止効果と考えられた.収量調査の結果,黄化株では,見かけ健全の緑色株に比べて根重が25%,根中糖分が10%,糖量が30%減少した.この減収程度および現地圃場における本病の初発時期から,本ウイルスの感染は6 月後半に起こっていたと推定した.