北日本病害虫研究会報
Online ISSN : 2185-4114
Print ISSN : 0368-623X
ISSN-L : 0368-623X
報文
宮城県における抵抗性品種を利用したダイズ紫斑病の防除
笹原 剛志
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 2009 巻 60 号 p. 45-50

詳細
抄録

宮城県のダイズ主要品種である「ミヤギシロメ」と「タンレイ」について,紫斑病に対する抵抗性を明らかにし,農薬節減栽培における利用を検討した.前者は晩生種で紫斑病に対する抵抗性は「強」,後者は中生種で紫斑病に対する抵抗性は「中」とされているが,これらの抵抗性の程度を2004 年に圃場試験により確認した.その結果,「ミヤギシロメ」は無防除で栽培しても紫斑粒の発生は極めて少ないのに対し,「タンレイ」では紫斑粒が多発したが,効果の高い薬剤の開花後25 日~35 日後の1 回散布で,十分な防除効果が得られた.これらの結果を基に,現地において実用規模の実証試験を2006 年から2008 年にかけて行った.その結果,「ミヤギシロメ」の無防除区ではいずれの年次でも極少発生で,薬剤散布区との差が判然としないのに対し,「タンレイ」については無防除栽培は難しく,薬剤散布を実施しても年次の変動は大きかった.宮城県では紫斑病の防除体系として,品種に関わらず開花後20 日~40 日後に1 回から2 回の防除を指導しているが,「ミヤギシロメ」では紫斑病を対象とした茎葉散布による防除は不要と考えられた.「タンレイ」では,効果の高い薬剤による防除が必須であり,農薬節減栽培を実施するためには,その他の耕種的防除も組み合わせる必要があると考えられた.

著者関連情報
© 2009 北日本病害虫研究会
前の記事 次の記事
feedback
Top