北日本病害虫研究会報
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昆虫病原性糸状菌Lecanicillium 属菌を用いた キュウリうどんこ病の発病抑制効果
原 裕芽子相内 大吾増田 俊雄関根 崇行小澤 徹小池 正徳
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2009 年 2009 巻 60 号 p. 92-95

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抄録

生物農薬として知られるLecanicillium 属菌の死菌処理による,うどんこ病の発病抑制効果をキュウリ子葉切片を用いて調査した.さらに供試したLecanicillium 属菌6 菌株の中から高いうどんこ病発病抑制の認められた菌株,および抑制効果がなかった3 菌株を選抜後,それぞれの生菌と死菌をキュウリ子葉の片側に前処理し,非処理葉のうどんこ病発病抑制効果を調査することで誘導抵抗性の有無について検討した.その結果,子葉切片では,死菌処理でうどんこ病に対する高い発病抑制効果が認められた.しかし,死菌処理をポット試験で実施したところ,処理および未処理葉の両方でうどんこ病発病抑制効果が劣った.生菌処理では処理葉および非処理葉ともにうどんこ病発病抑制効果が認められた.Lecanicillium 属菌の生菌処理14 日目で,処理葉で2.8~15×104 個/cm2,非処理葉で6.2~63×103 個/cm2 の本菌の定着が確認された.以上により,Lecanicillium 属菌によるキュウリうどんこ病の発病抑制効果の作用は生菌の状態での寄生や拮抗によるものが大きいと考えられた.

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© 2009 北日本病害虫研究会
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