2011 年 2011 巻 62 号 p. 169-173
イチゴ葉縁退緑病が発生している北海道の一地域において,イチゴ苗生産圃場近隣に生息するヒシウンカの一部個体から,本病の病原微生物が検出された.検出個体率は1%程度と低率であったが,他の半翅目昆虫からの検出が認められなかったことや,海外の発生地における本病の媒介昆虫に関する知見から,現時点ではヒシウンカが媒介昆虫の有力な候補と考えられた.ヒシウンカ防除も含めた本病防除対策の構築を目的に,イチゴ苗生産圃場やその周辺のヨシ群落などでヒシウンカの生活史調査を実施した.その結果,幼虫が4~7 月にかけて確認され,成虫は6 月下旬~8 月中旬まで確認された.卵は7 月下旬以降ヨシ株元の土壌や植物残渣などで認められ,8 月中旬にふ化幼虫が出現し10 月まで幼虫が確認された.以上のことから,本種はヨシを主要な寄主として年1 化発生し,ヨシの根で幼虫越冬するものと考えられた.