2011 年 2011 巻 62 号 p. 70-74
東北地域のキュウリ栽培ではホモプシス根腐病への対策としてクロルピクリン剤のマルチ畦内消毒が行われている.本研究ではマルチ畦内消毒を実施した際に想定される,定植位置から離れた部位の伝染源まで根が伸長して起こる感染が萎凋症状に与える影響を,制御環境下で解明することを目的とした.汚染土壌までの深さ(Depth of Infested Soil : DIS)が0~25cm まで5cm 毎に段階的に深くなる全高30cm の積層土壌カラムを作成し,その上面にキュウリ苗を移植すると,DIS の増加に伴い萎凋症状の発症が遅延する傾向が見られ,特に15cm 以上となった場合に顕著であった.一方,これらの根量を全層が非汚染土壌の積層土壌カラムに移植した健全キュウリと比較すると,汚染土壌内では減少するが,非汚染土壌内では同程度ないし増加する傾向が示され,萎凋症状の顕著な遅延との関連性が示唆された.また,PCR による病原菌検出の結果から,非汚染土壌内の根における病原菌の感染は,汚染土壌に近い部位から根系基部に向かって進展したことが示され,萎凋症状の発症時期に影響することが示唆された.