2013 年 2013 巻 64 号 p. 222-226
2010 年と2012 年に県内4 ヵ所のブドウ園で,クビアカスカシバを対象にしてフェロモントラップによる成虫の発生消長と幼虫の加害時期を調査した.成虫は6 月上旬頃から8 月中旬頃にかけて発生し,誘殺盛期は年次により30 日程度のずれを生じた.幼虫の加害による虫糞排出は7 月中旬頃から見られ始め,10 月中旬頃まで樹上で幼虫の寄生が確認できたが,11 月中旬頃には幼虫は土中へ移動して土繭を形成していた.また,ブドウ園で採取した雌成虫13 頭(飼育中の土繭から羽化した個体2 頭を含む)に,蜜源として市販のスポーツドリンクを給餌しながら25℃恒温自然日長条件で飼育したところ,採取後の生存日数は未交尾雌で7~13 日,既交尾雌は7~11 日であった.産卵総数は未交尾雌が176~792 個,既交尾雌は73~481 個でふ化率は28.0~88.9%とバラツキが大きかった.これらのバラツキは成虫日齢や飛来後の経過日数によるものと考えられた.