2014 年 2014 巻 65 号 p. 28-31
コムギ雪腐黒色小粒菌核病がコムギの地下部に発生した場合,地上部での発生に比べ,薬剤の茎葉散布による防除効果が低いことが示唆されているが,近年生産現場で使用されている薬剤についても同様であるかは検討されていない.また,コムギ品種の雪腐病に対する抵抗性は,これまで地上部への接種検定により評価されてきたため,本病の地下部感染に対しても地上部での検定結果と同様に抵抗性を示すかどうか明らかではない.本試験では,接種により本病の地下部発生を再現し,茎葉散布処理における薬剤の効果査定と品種の抵抗性検定を行った.地上部での発病に対し効果の認められた薬剤のうち,テブコナゾール水和剤やフルアジナム水和剤は地下部での発病も低く抑え,本病の地下部感染に対しても防除効果が認められた.また,地上部での接種検定で雪腐病に対して抵抗性を有する遺伝資源は,本病の地下部発生が少なく,地上部と同様に地下部でも抵抗性を示した.