2015 年 2015 巻 66 号 p. 23-26
箱施用剤による葉いもち防除を広域的に実施し,穂いもち防除を省略した「ひとめぼれ」栽培地域においていもち病発生状況を調査し,葉いもち・穂いもち発生量の関係から穂いもち被害発生リスクについて解析した.その結果,葉いもち発生量が少ない地区では,穂いもち防除の有無に関わらず穂いもち被害発生リスクは低かった.葉いもち多発圃場がある地区で穂いもち防除を省略すると穂いもち被害発生リスクが高くなり,同地区内の葉いもち少発生圃場でも穂いもちが多発することがあった.以上より,穂いもち防除を省略しても穂いもち被害発生リスクを増大させないためには,感染苗の持ち込み防止や箱施用剤による葉いもち防除の徹底により,広域的に葉いもちの発生を抑制し,地区内に伝染源となる圃場が存在しないようにすることが必要である.