2016 年 2016 巻 67 号 p. 104-107
土壌カラムを用いた試験により,地上部を切断したキュウリ根(残さ)がホモプシス根腐病菌の土壌内分布拡大に与える影響を検討した.具体的には,塩ビ管を用いた土壌カラム(全高30 cm,うち上面から25 cm よりも深い層が汚染土壌)にキュウリを生育させ,地上部を切断した後,0,31 および56 日後に土壌カラムを上面から5cm 深ごとに分割し,内部の土壌を生物検定に供して病原菌分布の変化を調査した.その結果,切断0 日後は上面から15 cm 深よりも深い層までの分布であったものが,56 日後にかけて5〜15 cm 深の層にも拡大することが確認され,また病原菌密度も時間の経過とともに上昇することが推察された.また,糖蜜を用いた土壌還元消毒を想定した有機物処理と密閉・保温処理により,全層で病原菌が検出されなくなった.本試験系は今後根部残さによる病原菌分布拡大の防止方法を開発する場合のモデル試験として有用と考えられた.