2016 年 2016 巻 67 号 p. 48-52
水稲の省力的移植栽培のうち,稚苗疎植あるいは乳苗疎植のいもち病の発生様相と育苗箱処理剤の防除効果を検討した.稚苗疎植栽培では疎植により面積あたり葉いもち病斑数に違いは認められなかったが,発生が広範に拡大する傾向が認められた.乳苗疎植栽培では,発生初期は稚苗慣行栽培よりも葉いもちは少なく,発生盛期では逆に多くなった.その理由として,面積あたりの茎数とイネ体の窒素含有量の違いが影響していると考えられた.これらの省力的移植栽培において育苗箱処理剤を施用することにより,出穂前まで葉いもちの発生を抑制できることを明らかにした.