2017 年 2017 巻 68 号 p. 108-114
2015~2016年,青森県津軽地域でリンゴ黒星病が多発し,基幹防除剤であるDMI剤に対する耐性菌の 発生が懸念されたため,慣行防除園から採取した罹病葉または罹病果由来の菌を供試し,生物検定および 薬剤添加培地を用いた感受性検定を実施した.生物検定では園地およびDMI剤の種類により差は見られ るものの,いずれの薬剤においても防除効果の低下が認められ,感受性検定でもフェナリモルおよびジ フェノコナゾールに対する感受性の低下が認められた.以上のことから,青森県津軽地域の広域でDMI 剤耐性リンゴ黒星病菌が発生していると判断された.また,1995~2016年におけるフェナリモル水和剤に対する感受性の比較から,高感受性菌(EC50 ≦0.04 ppm)の割合漸減および低感受性菌(EC50 ≧0.1 ppm)の割合漸増が示され,1995年以降,リンゴ黒星病のDMI剤に対する感受性は経時的に低下してい たと推察された.