2017 年 2017 巻 68 号 p. 102-107
2016年6月,青森県内のリンゴ園からフェンブコナゾール等の一部DMI剤において,防除効果が期待できないリンゴ黒星病菌の1菌系(ARI-NC)を得た.そこで,ポット植えの「ふじ」を用いて,本菌系に対するDMI剤の系統別にみた防除効果,並びにQoI剤,MBC剤,SDHI剤など各種薬剤の防除効果を 比較検討した.その結果,試験によって多少のばらつきがみられるものの,ピペラジン,ピリミジン,イ ミダゾールおよびトリアゾール各系統のDMI剤はいずれも防除価が低いと判定された.ピリベンカルブを除く各種QoI剤およびMBC剤のチオファネートメチルも低い防除価であった.DMI剤のフェンブコナゾール,QoI剤のクレソキシムメチルおよびMBC剤のチオファネートメチルの3種混用もそれぞれの単用と同様の低い防除価であった.一方,QoI剤のピリベンカルブ,SDHI剤のペンチオピラド等4剤,QoI・SDHI剤のピラクロストロビン・ボスカリド,AP剤のシプロジニル等2剤およびジチオカーバメート剤のマンゼブはやや高い~高い防除価を示した.以上から,本菌系は各系統のDMI剤だけでなく,ピリペンカルブを除く各種QoI剤並びにMBC剤に対する感受性も著しく低下していると考えられた.