2018 年 2018 巻 69 号 p. 154-158
岩手県岩泉町の畑ワサビ圃場において,ワサビルリイロサルゾウムシに対する数種殺虫剤の防除効果を検討した.越冬成虫が発生する融雪直後にエトフェンプロックス粒剤,シアントラニリプロール粒剤,ダイアジノン粒剤をトップドレッシング処理することによって,ワサビルリイロサルゾウムシ幼虫による畑ワサビ茎部への被害を抑制できることが明らかとなった.また,本種成虫に対する上記殺虫剤の殺虫活性を検討したところ,エトフェンプロックスとダイアジノンは主に接触,シアントラニリプロールは主に摂食により,それぞれ作用することが示唆された.ワサビルリイロサルゾウムシに対して効果のある殺虫剤が複数剤明らかになったことは,畑ワサビ栽培において体系防除を実施できる可能性を示している.